トランプ大統領の「心臓」を掴んだ?!安倍シンゾウ

「毒を喰らわば皿まで」と言うが、2月10日からの安倍首相の訪米は、正に、これを地で行ったものだろう。

米国内のみならず世界中からも警戒され、非難され、孤立気味のトランプ大統領とサシで2回目の会談をするどころか、ゴルフまで付き合うというのだから、世界中が驚いたのも無理はない。

何かトンデモナイ要求をされるのではないか?折角、うまい具合におぜん立てした尖閣や米軍駐留経費問題を、鶴の一声でひっくり返されるのではないか?と疑心暗鬼であったが、そうした懸念は全くの杞憂であった。

尖閣は5条適用を明言したどころか、米軍駐留に感謝の意を表明したのみならず、貿易赤字や自動車問題に対する批判を封印し、TPP参加にも含みをもたせるなど、期待以上の満額回答を得たことは大成功と言えるであろう。ようやく、仏に「魂」が入ったのだ。

これに花を添えるかのように、12日には、北朝鮮がミサイルを発射してくれたことにより、安倍首相の非難声明発表にわざわざ立会して、同盟国日本に「100%支持する」との発言は、安倍首相にとっては、まさに訪米成功に対する「祝砲」とも思えたことであろう。

今回の訪米の最大の山場は、10日の首脳会談よりも、11日午後の余人を排して行われた9ホールのゴルフであった。

2人でゴルフを行いながら、本音で語り合ったことは間違いないだろう。外交関係では、中国、ロシア、北朝鮮に加え、韓国、ベトナム、フィリピン、インド、さらには、イランやエルサレムへの米大使館移転問題も話題なったかも知れない。

そして、安倍首相がこれまで会った各国首脳に関する情報も伝えたことであろう。

政治や外交経験のないトランプ大統領にとっては、目から鱗、大いに学ぶところがあったことは十分予想される。ここで大切なことは、全て、安倍首相と言うフィルターを通しての考えであり、意見だということだ。

すなわち、日本側の解釈を白紙状態のトランプ大統領にインプットすることが出来たこと、これが訪米の最大の成果であろう。

また、トランプ大統領にとって最大の関心事である米国内の雇用問題については、公式の階段では触れなかった、51兆円のインフラ投資と70万人雇用の実現を約束した可能性もある。

トランプ大統領にとって、この9ホールでの話し合いは、十分に得心し、満足するものだったのではないか。そうでなければ、わざわざ立会し、用意された原稿も見ずに「100%支持する」なんて言うわけがない。

通商問題については、ペンス副大統領と麻生副総理との間で詰めを行うことが決まったが、これをどう実現するかの具体策が話し合われることになるのではないだろうか。

一部マスコミでは、レーガン時代のように無理難題を突き付けてくのではないかと懸念する声があるが、この時代とは背景が全く異なる。

日本の市場は十分に開放されているし、対日貿易赤字も世界2位とはいえ、中国の3470億ドルに比べれば、689億ドルと1/5に過ぎない。

また、すでにTPPという土台があり、これに肉付けをすれば良いだけなので、合意に達するのは、当時に比べればそれほど難しいものではない。

場合によっては、実質的にはTPPに参加する可能性だって有りうる。

「黒船」体質が抜けない日本にとって、トランプ旋風はピンチでもあり大きく変身するチャンスでもある。こうしたピンチを乗り越えて日本は強くなってきたのであるから、大変ではあるが、もっとポジティブに捉えるべきだろう。

いざとなれば、中国に展開している工場を米国に移せば良いのだ。これに、新幹線かリニアを米国内に建設すれば、雇用問題はかなり改善されるだろう。

後は、日本の防衛力の強化だ。米側の本音は、もっと日本は防衛力を増強して、アジアにおいて軍事的役割を果たして欲しいということだ。

そのためには、少なくとも、尖閣を独自で奪回できる能力、中国海軍を東シナ海に封鎖する能力、敵地を攻撃する能力、この3つを身に付けることが必要であろう。

そうすれば、アジアにおける米軍の負担は減少し、再び、世界の警察官としての役割を果たすことが出来るようになるだろう。

日本は米国の前に立たず、半歩後ろに下がって、しっかりとサポートすれば良いのだ。武田信玄山本勘助、秀吉の黒田勘兵衛のように。

それにしても、安倍さんは運の良い人だ、そして、「死中に活を求め」て難癖のトランプ大統領と親交を結ぶことに成功したことに、心からの感謝と、「お疲れさまでした」と労いたい。

 

タガをはめられた?トランプ暴言

根拠や整合性のない自分の主張や願望を一方的にまくしたて、都合の悪い質問には偽ニュースだと罵倒して質問を遮り、子供のケンカの場と化した1月11日の記者会見を見て、世界中に失望と不安が広がった。

 

最早、棺桶に半分以上足を突っ込んだ70歳のジイさんに、もっと大統領らしく振る舞え!!発言は慎重にしろ!!などと説教したところで、当の本人は聴く耳を持たないし、直そうという気もないのだろう。

 

これから4年間、こうした暴言を聞かされて、世界中が振り回され、混乱させられ、その結果がどうなるかを考えるだけで空恐ろしくなるが、現実として受け止めざるを得ない。

 

その一方で、同時期に行われた指名承認公聴会における重要閣僚候補の発言を見る限りでは、そうは簡単に、トランプ大統領の思う通りにはならないのでは、と思わせられる発言が相次いだ。

 

国務長官候補のティラーソン氏は、「尖閣」が日米安保の適用対象であり、「TPP」も反対ではないと明言した。

 

また、国防長官候補のマティス氏は、「強力な同盟国を持つ国家は繁栄し、それがない国家は衰退すると」と同盟関係の強化を訴えた。そして、両氏とも、ロシアに対し強い警戒感を表明した。

 

これらは、TPPを否定し、同盟関係すら経済的な損得勘定で取引し、ロシアに対する近親感を隠そうとしないトランプ氏の主張とは明確に一線を画するものであることから、トランプ氏にとっては出鼻をくじかれ、手足を縛られた格好だ。

 

尖閣」を人質に経済問題の大幅譲歩を迫られる心配が無くなったことは、日本とっては一安心と言ったところだろう。

 

また、安倍首相が、フィリピン、オーストラリア、インドネシアベトナムを歴訪して、東シナ海の海洋安保のために、米国との連携強化の同意を取り付けようとしていることも、トランプ氏にとってはプレシャーとなるだろう。

 

理屈よりも敵か味方を峻別して、それに応じて態度を変えるトランプ氏に対して、我々は、あなたの「味方」ですよとアピールしているのだから。

 

そうなると、トランプ政権の攻撃の矛先は、まず、「敵」である中国に向かいそうだ。

東シナ海を軍事要塞化」している、「中国は経済で米国を食い物にしている」と敵愾心を露わにし、「1つの中国」に疑問を呈することによって、交渉の切り札として使おうとしている。

 

海洋進出の象徴として埋め立てた人工島が、法的のみならず、軍事的には致命的な欠陥を持つがゆえに、最大の弱点となって、習近平を苦しめることになりそうだ。

 

それにしても、なんでこんな時期に、実戦では使い物にならない空母を太平洋に進出させ、台湾を一周させたのかね?

 

これでは、米国の対中姿勢を一層硬化させるだけだ。もし、その報復として複数の米空母が人工島周辺に展開して居座ったら、どう対応するのだろう。

 

いつまでも、ちょっと脅せば相手は引っ込むだろうと勘違いしていると、大やけどをしますよ。

 

何しろ、口先だけで、何もしなかった理想主義者のオバマ大統領とは違い、超現実主義者で何を考えているか、何をやるか分からない相手なのだから。老婆心ながら一言。

 

トランプ大統領誕生は、日本にとってピンチ?チャンス?

トランプ候補が選挙期間中に発した「在日米軍の撤退」「核武装の容認」「TPPからの離脱」といった数々の刺激的な発言は、日本では、こころ穏やかならずとも、どうせクリントンが勝利するのだからと、それほど重く軽く受けとめられることはなかった。

ところが、まさかの大どんでん返しで、クリントンに勝利して大統領になることが決まった瞬間、日本の空気は一変した。

在日米軍の撤退は有り得る」との認識のもと、自衛隊の強化が真剣に論じられるようになり、さらに、戦後、70年にわたって最大のタブーであった核武装まで論じられるようになったのだ。

また、TPPはオバマ政権下での議会承認を断念したことにより、実現は絶望的になった。

トランプ本人は、日本からもっと金を引き出すための方便として、在日米軍の撤退を持ちだしたようであるが、それは、日米安保を、実利を得るための「取引の手段」としてしか捉えていないことを意味している。

これは、日本が冷戦崩壊後一貫して果たしてきた、米国の対中・対ロ戦略の前衛国家や、アジアにおける米国の軍事的影響力行使のためのキーストンとしての役割を完全に否定するものである。

それは、無意識の内に、北朝鮮核武装と中国の推し進める第2列島線への進出を容認し、南シナ海における中国の支配を認め、太平洋を米国と中国で東西に分割することを受け入れたことを意味している。

ことの重大さに気づいたのか、大統領当選が決まった瞬間、これまでの過激な発言は影を潜め、オバマ大統領との会談でも、尊敬すると持ち上げ、指導を仰ぎたいと殊勝な態度を示したが、ことすでに遅しだ、一度開いたパンドラの箱はもう元にはもどらない。

日本人の頭の中には、在日米軍の撤退と核武装がインプットされてしまい、これを前提として、今後は、核武装を含めた日本の安全保障や防衛戦略が論じられることになるのだ。

トランプ発言は、日本の自主防衛を加速させるチャンスを与えてくれたのだ。

また、TPPも同様で、安倍首相は米国の動向に関係なく批准を確実にした。これを見て、他の参加国は、発効の前提を変更し、米国抜きで自由貿易圏の設立を目指そうとする動きが出てきた。もし、これが実現すれば、米国は太平洋で経済的に孤立することなる。

また、トランプ政権下で日米安保条約が骨抜きになって「紙くず」になるのあれば、ロシアのみならず中国や北朝鮮との関係見直しは必然だろう。

北方領土は2島+αで妥結して平和条約を締結すれば、北方の脅威は解消されるし、米国市場に成り代わってシベリアでの経済進出が加速される。 もし、中国と平和条約を締結することが出来れば、尖閣は些細な問題となるし、AIIBに参加すれば、過剰な日中間の経済援助競争を緩和し、wi n  winの関係にすることが可能となる。

北朝鮮と国交回復すれば、拉致問題は解決し、核やミサイルの脅威を格段に下げることができる。

汚職やスキャンダルまみれの大統領しか輩出できない韓国よりも、人権問題に目をつむれば、北朝鮮のほうがよほどしっかりしている。

もし、トランプ大統領が、日米安保を「実利」優先で日本に無理難題を押し付けてくるのであれば、これくらいの覚悟で交渉に臨む必要があるだろう。

従来の普遍的価値を全面否定し、正義を不正義とし、不正義を正義に転嫁させたのであるから、日本も価値観を180度転換しなければ生き残れないのだ。

いずれにしても、トランプ氏の選挙期間中の暴言は、日本の自立化と再軍備を促し、日米関係のみならず対中、対ロ、対北朝鮮関係の抜本的な見直しのチャンスを与えてくれたのだ。

同時に、今後4年間、米国は世界秩序を維持するメインプレーヤーから、世界に混乱をもたらすトラブルメーカーとしての役を果たすことになるのだ。

トランプ大統領は後世、世界に混乱と戦争を招いたヒトラー、それを許した共和党ナチスと同列に扱われるかもしれない。

1月17日、安倍首相はトランプ氏と直接会談するが、このようなことを認識した上で発言したのか、そうなっても良いと考えているのかをしっかり確認する必要があるだろう。

トランプ大統領が、日米同盟の意義を良く理解し、自由主義圏に属していることをしっかりと認識して、世界の平和と安定のために、実利優先主義を転換して現実的な政策をとってくれることを切に願う。

 

仲裁裁判2兆5000億円の口止め料は、高い?安い?

失敗しない外科医「ドクターX」の大門未知子が、いわくつきの手術をするたびに、出術料と「口止め料」を含めて1,000万円単位の多額の料金を請求するが、同じ口止め料でも、中国の口止め料は桁が違うようだ。

なにしろ、仲裁裁判を口にしないと約束するだけで、何と、2兆5000億円もの大金をせしめたのだ。

そう、フィリピンのドゥテルテ大統領の訪中だ。ガムを噛みながら習近平主席と握手する様子はテレビで世界中に放映されたが、今や、強面の代表格である中国の指導者に、こんな非礼な態度で接した大統領は初めてだろう。

これほど屈辱的な態度を示したにもかかわらず、笑顔(多少引きつったような顔であったが)で握手に応じたのは、習近平にとって、いかにありがたい来客であったかが窺えるシーンであった。

ドゥテルテ大統領リップサービスは、これだけに留まらず、米国と経済面のみならず軍事面でも決別すると発言して、中国側を喜ばせた。

中国側が支払った口止め料は、お金だけではない。埋め立ての構えを見せていたスカボロー礁周辺での、フィリピン漁船の操業を認めたことだ。

早速、米国は「前向きな進展だ」と評価したが、米国は中国側のこうした処置は、これまで「紙くず」と切り捨てていた仲裁裁判の判決を、一部、受け入れたと解釈したからであろう。

今回の訪中で、仲裁裁判の口止め料は、「2兆5000億円」+「判決の一部受け入れ」と相場が決まったことは、経済が低迷する中国にとっては、今後、結構な負担になることだろう。

中国が口止めしたい国は、フィリピンだけではないからだ。中立的な態度をとっているASEANの他の国も、中国に対してそれなりの対価を要求してくるだろうし、すでに、中国側に立っているカンボジアも、この額を基準にして更なる経済援助の上乗せを要求してくる可能性だってあるからだ。

また、裁判当事国のフィリピンに対して、裁判の判決を一部受け入れたと解釈される処置をとったことは、もし、中国側が、漁船に対する操業妨害の再開や埋め立てを開始すれば、フィリピン側の激しい反発を招くことになる。

そうなれば、いくら反米・親中のドゥテルテ大統領といえども、判決棚上げを破棄せざるを得ないし、米国に頼らざるを得なくなるだろう。

日本を訪問したドゥテルテ大統領が、「その時がくれば、日本の側に立つ」と発言したのは、「そんなことはするなよ!!」と中国に釘を刺すためだったのであろう。

中国は、意識する、しないにかかわらず、南シナ海での行動に、自らの手を縛ってしまったのだ。

それにしても、同じ訪問でも、中国は2兆5000億円もの大金を支払ったのに対して、日本は僅か214億円の借款を与えたに過ぎず、えらい違いだ。

前者は「米国からの決別」の言葉を引き出したものの、後日否定されて「無かったことにされ」、後者は、長年に渡る支援を感謝して「真の友人」と評価された。やはり、人の心は金では買えないと言うことか。

力を背景にして他国を動かそうとする強権的な外交は、高くつくということだろう。

 

口喧嘩から実行動の段階へ 対中・北朝鮮

8月24日、SLBMの発射、9月5日、3発のミサイルが同時に発射され、6日には、3発のミサイルが次々と天空に向かって上昇する映像が公開された。

国民は、これまで見たこともない壮観な光景に度肝を抜かしたことだろう。ところが、その衝撃が冷めやらぬ9日には、核弾頭の爆発実験だ。

いくら平和好きで、軍事に疎い日本国民も、今、自分の国は、容易ならざる危機に直面していることを心の底から実感したことだろう。

戦争反対や平和絶対論者が金科玉条としてきた「平和憲法」なるものは、実は、ただの「紙くず」でしかなかったのだ。

「諸国の信義と公正に信頼」することを前提とした憲法など、軍事力を背景とした冷徹な国際政治の場においては、オバマ大統領の核なき世界と同様に、単なる空想であり、手前勝手の空理空論なのだ。

北朝鮮は、国連の度重なる非難決議や制裁などには目もくれず、核ミサイルの実戦配備、弾道ミサイルSLBMの性能向上にまい進し、米国をも脅かす軍事強国への道をばく進している。

中国もまた、東シナ海における仲裁裁判の判決を完全に無視して、人工島の軍事化をすすめ、同時に、尖閣の領海侵犯を繰り返し、東シナ海南シナ海における覇権確立に手を緩めようとしない。

オバマ大統領や安倍首相が、事あるごとに、口を酸っぱくして「許しがたい暴挙だ!!断固として反対する!!」とか「国際法の順守」と叫んでも、実行動を伴わない以上、両国に対しては、年寄りの繰り言でしかない。

米国が大統領選という権力の空白期間を最大限利用して、得るものは最大限獲得しようという魂胆なのだ。

北朝鮮は、いくら経済制裁を受けても、中国という抜け穴があるから、痛くも痒くもないし、米国は攻撃してくる度胸がないことを見透かしている。

また、中国もオバマ大統領の「リバランス政策」は口先だけで、中国軍との軍事衝突を覚悟してまで、軍事化を阻止するための実力行使に踏み切る気はないことを見抜いている。

このため、ASEAN諸国の多くは、判決順守を口に出したくても、米国の本気度と覚悟を疑い、後難を恐れてモゴモゴと曖昧な態度をとらざるを得ないのだ。

このままでは、中国の既成事実化が進み、いずれは、米国が南アジアから排除されてしまうだろう。それは同時に、日本の尖閣喪失、そして、東シナ海は完全に中国の海と化すことにも繋がるのだ。

次期大統領が、クリントン、トランプの誰がなるにせよ、米国が世界の覇者であり続けたいと考えるのであれば、オバマ政権によって著しく弱体化された米軍の立て直しは最優先事項だろう。

その上で、ベトナム、フィリピンに米軍を駐留させ、人工島を中国本土から切り離す態勢を確立しなければならない。中国に判決を受け入れさせるには、これしか方法がないからだ。

今現在、米海軍が行っている「自由の航行作戦」などは、ただのゼスチャーでしかなく、何ら効果がないことは、これまでの経緯からみて明らかであろう。

日本もそれ相応の覚悟が必要だ。GDPの1%以下の予算で、国境警備隊に毛の生えた程度の軍事力しか持たず、自国の防衛を米軍に丸投げしているようでは、いつまでたっても、中国や北朝鮮に軽く扱われ、米国の属国扱いされて、米国の思惑に振り回されるだけだ。

ミイサル防衛や離島防衛・奪回能力の向上はもちろん、敵地攻撃能力やミイサルによる反撃能力を整備することは、日本にとっては喫緊の課題だ。

これだけの態勢を現実に整えて初めて、米国内に根強くある「安保タダのり論」を解消して、日米安保は正常に機能するのであり、尖閣を守ることできるのだ。目に見えない「安保関連法」だけでは不十分なのだ。

また、北朝鮮が核弾頭を搭載した弾道ミサイルを実戦配備すると、米国による「核の傘」は有名無実化する恐れがある。内向きになった米国が、自国の都市を犠牲にしてまで、日本のために、核攻撃で反撃してくれる可能性は低いからだ。

このため、日本も核武装の議論を真剣に開始すべきだ。北朝鮮による核の脅威から守るためには、米国に頼るのではなく、自ら核武装して抑止するしか方法がないのだ。

もう、口喧嘩をする段階ではない、口先だけでは相手にされない。発言の裏付けとなる軍事力と覚悟が必要なのだ。「銃口から生まれた政権」に対しては、力で対抗するしかない。「自分の身は自分で守る」これ国際社会の常識ですよ、日本の皆さん!!

 

ミサイルは360度発射可能だ。北京も核ミサイルの射程に入るのに、絶対に安全だと確信しているのだろうか?SLBMはもっとやっかいですよ!!余り北朝鮮に肩を持つと、後で後悔することになりますよ!!蛇足ながら。

 

本当に強く、逞しくなった日本選手

果たして開催できるのかと世界中をヤキモキさせたリオ・オリンピックが8月21日、テロや大きな事故もなく無事閉会した。

政治的混乱、資金不足、環境悪化、治安上の不安、工事の遅れなどなど問題山積にも拘わらず、なんとか開催にこぎ着け、無事17日間の競技を終了できたのはブラジルやリオ市の努力の賜物であり、その努力に敬意を表したいが、あんな状態でも出来るのだから、日本だったら、余裕だと妙に安心したものだ。

それにしても、閉会式における安倍首相のパフォーマンスには正直驚いた。1国の首相がマリオに扮して登場するなんて前代未聞だ。これには観客もマスコミも大絶賛し、正に金メダル級のサプライズだった。

肝心の競技の方だが、水泳の萩野と瀬戸の金銀メダルを皮切りに、連日のメダルラッシュで、朝起きてテレビを付けるたびに、メダル獲得のニュースが流れるのは気分の良いものだった。

結果はロンドの38個を3つ上回る41個も獲得したのだから、まずまずの成果だろう。

連日の選手の奮闘に感動し、表彰台に上って君が代の演奏を聞く度に、誇りを感じることが出来るスポーツの持つ力は、偉大なものだと改めて感じ入ったしだいだ。



特に目立ったのが、日本人ならではのチームワークの良さと、どんなに不利な形勢になっても、最後まであきらめずにドン場で逆転をして勝利をもぎ取るケースだ。

小柄で華奢な身体で頑張った重量挙げの三宅、初日にいきなり金を取ったレスリングの伊調、登坂、土性、体操の団体と個人総合の内村、男女卓球、バドミントンダブルのタカマツ組などなど数え切れない。

かつては、日本人選手に共通する弱点は、プレッシャーに弱く、肝心なところでミスを犯して敗退することだったが、今回はその弱点を見事に克服して、技術面のみならず精神的にも強く逞しくなったとのが素晴らしい。

特に、400m男子や男女卓球の団結力と強い精神力や、タカマツ組の阿吽の呼吸で機敏に動き回る姿は、涙無くしては見られない感動ものであった。

また、指導者がいかに大きな役割を果たすかを痛切に感じたのも、今回の特徴であった。全階級制覇を成し遂げた男子柔道の井上監督、銅を獲得してシンクロを復活させた井村監督、金メダルラッシュを実現した女子レスリングの栄監督などはその典型だろう。

残念ながら、女子レスリングの吉田は、4連覇達成は出来なかったが、研究しつくされ、しかも、若い選手を相手にして闘い、銀を獲得しただけでも立派なものだ。伊調はそれでも金を獲得したのだから、国民栄誉賞の価値は十分あるだろう。

それにしても、かつて日本が得意としていたバレーとマラソンが惨敗したのは残念だ。バレーは、身長差のハンディを克服することが出来なかったし、マラソンは高速化について行けていなくなった。やはり、陸上競技は黒人選手にはかなわないというのが正直なところか。

20km程度しか走らない駅伝ばかりやっていると、42kmを高速で走りぬく体力気力を養うのは難しいのだろう。

今回、10代選手の活躍が目立ったが、これを糧に、4年後を目指して頑張って欲しいが、それには、施設を作るのも必要だろうが、選手個人にもっとお金を継ぎ込んで育成することの方が、もっと大切だろう。

中国のように国が丸抱えとまではいかないまでも、アルバイトとの掛け持ちで選手を続けさせるようなことは止めるべきだ。

私生活を犠牲にし、自分の一生を掛けてチャレンジしている選手に対しては、国もそれ相応の報いをすべきであろう。

 

常任理事国としての責務を自ら放棄した中国

これをヤブヘビというのだろう。まだ、判決も出ていないのに、裁判は不当なものであり、判決には従わないと明言し、これ見よがしに軍事拠点化を進める。

中国としては先手を打って、少しでも有利な判決を引き出そうとしたつもりが、国際秩序に対する挑発的な態度と受け取られ、逆に、予想以上の厳しい判決を招いてしまった。

7月12日、ハーグの仲裁裁判所が出した判決は、南沙諸島の人工島は低潮高地であり、EEZと大陸棚は認められないと断定したのみならず、「九段線」の存在すら否定し、フィリピン側の全面勝訴、中国の全面敗北となった。

中国は、この判決はただの紙屑であり、無効であり、拘束力はないと反発したが、この判決が覆ることはなく、南シナ海における中国の行動は全て違法行為となったのだ。

判決後初の国際会議となった7月16日のASEM首脳会議において、中国は10か国以上の首脳と会議を重ね包囲網の切り崩しを図ったが、中国の立場を支持したのはラオスくらいで、親中派と目されているカンボジアは、570億円もの援助を約束したにも拘わらず、中立を表明するにとどまり、蜜月関係にあるロシアからも明確な支持は得られなかった。

経済的関係の強いモンゴルやドイツからも支持を受けることができず、結局、17日の議長声明では、中国に配慮しつつも、海洋の安全保障と国際法の順守を謳った議長声明が出され、中国の孤立が一層際立つ結果となった。

中国は、70か国から支持を得ていると喧伝しているが、それがどこの国であるのか、是非、お伺いしたものだ。

英国では、エリザベス女王からは「非礼な国」扱いされ、頼りのオスボーン蔵相も去ったいま、国際法に従わない中国を支持することはあり得ないし、ASEANASEMでもとうていその数にはならない。

これまで、拒否権を持つ常任理事国として、最大限の利益を享受してきたにも拘わらず、国連が存立する基盤である国際法そのものを無視することは、自己矛盾であり、常任理事国としての義務と責任を自ら放棄したものである。 今後も、中国が国際秩序を破壊する行動をとるのであれば、国際社会は、中国に常任理事国としての資格が有りや否やを厳しく追及すべきであろう。

そう言えば、1932年、リットン調査団の報告書を無視した日本は国際的に孤立し、これが、翌33年の国際連盟脱退に繋がったが、中国は、日本と同様の失敗を繰り返さないためにも、この歴史の教訓を鑑とすべきであろう。