中韓とは、冷え切った関係から、冷えた関係で十分

「砂を噛むような感じ」とはこのことを言うのだろう。11月1日、3首脳が顔をやや引きつらせながらも、無理やり笑顔を浮かべて手を重ね合っている姿は、なんとも居心地が悪く、違和感のあるものであった。

中韓両国が日本との関係改善の前提としていた、尖閣慰安婦問題をとりあえず引っ込めて首脳会談に応じたことは、安倍首相の「問題があるからこそ、前提をつけることなく話し合うべき」との従来からの主張を受け入れたことを意味する。

この背景には、目標成長率を6.5%にまで下げなければならないほど経済減速が顕著となる一方で、南シナ海で苦境に陥っている中国、片や、中国以上に経済が悪化し、米国からは疑いの目で見られ、踏み絵を迫られている韓国、この2か国に共通するのは、経済のこれ以上の悪化を避けるためには、日本との関係改善を図り、助けを必要としていることがあった。

これに対し日本は、安保法の成立に伴う日米同盟の深化、TPPの大筋合意、地球を俯瞰した首脳外交を通じて、中国周辺国との関係強化を図ったことにより、中韓に対する立場は格段に強化されていたから、首脳会談の必要性は、中韓に比べて、それほど切迫したものではなかった。

このため、安倍首相にとっては、前提条件なしの首脳会談が実現しただけでも、目的の大半は達成したと言って良いだろう。

さらに、首脳会談の定例化や、ガス田の共同開発への協議再開や海上連絡メカニズムの運用開始について努力することに合意したことは、その実現性はともかくとして、一定の成果を収めたとも言えよう。

その一方で、中韓が望むFTAは、TPPの合意が基準となることから、交渉を加速すると言っても、そう簡単にはいかないだろう。

注目の日韓首脳会談では、慰安婦問題の早期解決を目指すことで合意したが、韓国側が相も変わらず「被害者が受け入れられることができ、国民が納得するレベル」の解決を求めるなど、日本に丸投げをして、自ら努力する姿勢を見せない(どこかの県の知事にそっくりだが)以上、早期解決はムリだろう。

今後も、中韓は結束して、歴史問題を武器にして日本に譲歩を迫って来るだろうが、日本がすんなりと、それに応ずることはあり得ない。

この3年半の空白期間中に、日本国民は、中韓の主張する歴史はねつ造されたものであり、その歴史観は公平性や客観性を欠き、一方的な解釈によるものであることを知った。

そして、この歴史観を武器にして日本を悪しざまに罵倒し、一方的に要求を突き付けて来る、中韓と言う国や国民の本性を嫌と言うほど見せつけられた。

こうした経験を通じて、日本国民は、同じアジアに位置していても、中韓とは価値観も生き方も全く異質の国であり、共生することは難しいことを学んだのだ。

それは、本屋に行けばよくわかる。そこには、反中や反韓の本で溢れ返っており、それが結構売れているからだ。

中韓両国が過去の歴史にこだわり、政治利用して蒸し返せば蒸し返すほど、国民感情は悪化し、嫌悪感から憎悪感へと変わって行くだけである。最早、日本国民が、日中友好や日韓友好を口にすることは金輪際ないのだ。

中韓両国が、歴史を歪め、ねつ造までして日本を貶めようとする態度を改め、歴史と政治を切り離して、対日関係の改善を図らない限り、日本との真の関係改善や経済的支援は得られないことを肝に銘ずべきであろうし、日本は絶対にしてはならない。

抗日戦の主役は誰だったのか、南京での虐殺は本当に日本軍だけが行ったのか、30万人と言う根拠はどこにあるのか。文化大革命天安門事件で、どれほどの国民が虐殺されたのか。中共軍はどれほどのチベット人を虐殺したのか。

日韓併合はなぜ行われたのか、マイナスの面ばかりなのか、慰安婦は日本だけの問題か、朝鮮戦争時の米軍慰安婦はなぜ取り上げないのか、漢江の奇跡はだれのおかげか、韓国軍はベトナムで何をやったのか等々、戦前のみならず戦後の歴史を直視すべきなのは、中国であり韓国なのだ。

中韓の執拗な日本批判にも関わらず、世界各国は安保法の成立に賛意を表明し、日本の国際貢献に感謝し、世界中から観光客が押し寄せている。

これは、歴史問題が日本に対する武器としての効力を失い、逆に、中韓歴史認識が誤っているのではないかとの疑いが、世界の共通認識になりつつあることの証左でもあろう。

中韓との関係は、付かず離れずの冷たい関係を維持することが肝要だ。経済的に困っているからと言って、下手に親切心を出して助けたとしても、感謝されることはなく、また裏切られ、恩をあだで返されるだけだからだ。正に、君子危うきに近寄らずである。