4年前の2013年にこれを断行しておれば、その後のロシアによるクリミア半島併合やウクライナの内戦、中国の南シナ海における岩礁の埋め立て、北朝鮮よる急激なミサイル開発は無かったかもしれない。
そう、2月6日に行われた、米軍のシリア空軍基地に対する巡行ミサイルによる攻撃だ。
米国の利益を第一に掲げ、「世界の警察官ではない」と宣言していたトランプ大統領が、まさか、武力行使に踏み切るとは、誰も予測しなかったことであろう。
しかも、そのタイミングは絶妙だった。習近平が訪米した初日に実行したのだ。
習近平にすれば、移民制限、オバマケア、壁の建設など、トランプ大統領が選挙前に公約した政策がことごとく阻まれ、支持率が著しく低下しいるこの時期に、米国に乗り込んで、新しい大国関係を認めさせようと意気込んでいたのが、いきなり、パンチを喰らって機先を制せられてしまった。
米国内のみならず世界中の関心は、この攻撃に集中し、首脳会談は完全に脇に押しやられ、新しい大国関係を持ちだすような雰囲気ではなくなったのだから、完全に当てが外れてしまった。
しかも、この攻撃に「理解」をさせられてしまうなど、すっかり、米国側のお膳に乗せられてしまい、習近平にとっては、正に踏んだり蹴ったりだろう。
首脳会談において、米国が対北朝鮮政策に関して中国側に警告したのは、
■もし、中国が北朝鮮をコントロールしない(出来ない)のであれば、軍事力行使を含む対北朝鮮政策は、事前に中国の同意を得ることなく、あるいは、調整を行うことなく行いますよ!!!
■そうなれば、北朝鮮からの大量の難民が中国になだれ込むだろうし、金正恩体制が崩壊した後の国造りは米国が主導することになり、中国は朝鮮半島における緩衝地帯を失うことになるが、習近平さんそれでも良いんですね?
の2点だったのではないだろうか。
今後、米国としては、経済制裁から経済封鎖への移行、韓国に核兵器の再配備、韓国と日本にTHAADを配備、空母やB52による軍事的圧力の強化、断首作戦の準備など、金正恩体制崩壊に向けて着々と歩を進めて行くことになるのだろう。
ICBMへの核搭載を阻止しなければ、直接、米本土が核の脅威に晒されるのであるから、北朝鮮問題は、東アジアどころか米国自身の安全保障に関わる問題なのだ。
僅か59発のミサイルであったが、これは、第2次朝鮮戦争への号砲となるかもしれない。
そうなれば、当然、日本もミサイル攻撃を受けるだろうし、難民も来るだろう。その時、日本はどう対応するのか、国だけでなく、地方自治体、自衛隊、海上保安庁、警察レべルで備えておかなければならないことは山ほどある。
それなのに、国会は8億円の土地取引や100万円の寄付など些細なことで大騒ぎしている、 今、現実に直面している日本の危機に対する鈍感さにあきれるばかりだ。
こんなことをしていると、原発事故の比ではない、とつてもなく大きなツケを払わされることになるだろう。