対中政策は「政冷経避」でリスク回避を!!

南シナ海岩礁埋め立てにウツツを抜かしている間に、上海株の暴落に伴う世界同時株安、天津を始めとする各地の爆発事故、中国製エレベーターやエスカレーターでの死亡事故の多発、道路の陥没などのインフラの崩壊等々、およそ先進国では考えられない重大事故が頻発しており、今や、社会不安に発展している。

これら一連の事故を通じて明らかになったことは、中国政府の対応の稚拙さと硬直性、社会秩序や規範の欠如であり、中国に対する「信頼性」は完全に失墜した。

本来、上海の株式市場は閉鎖的なものであり、ここで株価が下落したからと言って、世界の株式市場に影響を及ぼすはずはないのであるが、敏感に反応したのは、中国経済の実態は、公表されているよりも、もっと悪いのではないかと言う「不安感」から発生したものである。それほど、中国は世界から信用されていないと言うことである。

これまで、中国経済は比較的好調であったから、多少のマズイ面は見逃されてきたが、ここまで経済が減速してくると、全ての歯車が逆転を始め、あらゆる矛盾が一挙に噴き出してきた感がする。 9月3日、抗日戦勝利70週年記念と称して大規模な軍事パレードを行うようだが、
■抗日どころか、中国大陸を逃げ回っていただけの中国共産党軍、
終戦のどさくさに紛れて、火事場泥棒的に北方領土を奪ったロシア、
■日本軍の将校で中国軍と闘った父親の娘
が参加する軍事パレードに歴史的意味は無く、単なるプロバガンダでしかない。その資格があるのは、台湾の国民党でしょう。もっと、「真の歴史的事実を直視せよ」と言いたい。

また、どんなに軍事力を誇示したとしても逆効果しか生まないだろう。日本を始めベトナムやフィリピンが「恐れ入りました」と言うはずはなく、益々警戒されて、米国との連携を強化して軍拡に走らせるだけである。それどころから、「こんなことをやっている暇はあるの?」と同情されるだけであろう。

フィリピンのアキノ大統領は、中国をナチス・ドイツになぞらえて批判し、米国の共和党の大統領候補は、「尖閣は日本の領土」だと明言した。

また、9月に予定されている習近平の訪米に対しては、国賓待遇を止めよと主張するまでに、対中感情は悪化しているのだ。

習近平は「中国の夢」と語っているが、信頼を失った中国は、政治、経済、社会面において、これから長い低迷と混迷時代に入り、正に、「中国の悪夢」が始まるのだ。

「君子危うきに近寄らず」、日本は中国に対する関与を必要最小限に留め、リスクを回避する必要がある。

今、中国は日本にすり寄ろうと、色んな仕掛けを試みているが、迂闊に乗ってはならない。

中国のマスコミが、天皇の戦争責任を問う報道を行ったが、こうした中国の礼を失した主張は、折角好転の兆しが見え始めていた日本国民の対中感情を一挙に冷ますものであり、これを好機と捉えて、中国からより一層距離を置くべきであろう。

政治的には最小限の対話は行うが、あくまでも外交的儀礼の範囲内で行うべきであり、こうしたモラトリアムの状態が維持されている間に、現在、中国に進出している製造業は、出来るだけ速やかに撤退すべきである。

日本の製造業が多く進出している広東省の東莞市で、かっては550社もあったのが、450社に減少しているとのことだが、まだまだ多い。

撤退するとなると、当局から色んな嫌がらせを受けて、むつかしい面があるが、比較的社会が落ち着いている今のうちに、勉強代と割り切って、多少の犠牲は払ってでも撤退しないと、いずれは、全てを失って、丸裸で追い出されることになる可能性があるのだから。

海洋国家である日本が、大陸国と深いかかわりをもつと、ロクなことにならないのは、過去の歴史が証明しているのだから、付かず離れず、一定の距離を置いて付き合うべきであろう。戦前の愚を繰り返さないためにも、今まさに、「政冷経避」が求められているのだ。