今、「そこにある危機」を直視しょうとしない日本国民

伊勢志摩サミットやASEANでの批判、米軍の自由航行作戦と、四面楚歌にも拘わらず、南シナ海での軍事拠点化を進め、しかも、国際司法裁判所の判決には従わないと明言した。これは、中国は、自分に都合の悪い国際法に従わないことを宣言したようなものだ。

そして、南シナ海の軍事拠点化が一段落ついたところで、次に手を出したのが東シナ海だ。

6月9日、尖閣接続水域に軍艦の侵入、続く15日には、情報収集艦による鹿児島県沖の領海侵入、そして、翌16日には北大東島周辺の接続水域内を航行した。

これら一連の軍事行動は、南シナ海における中国軍の行動を批判し続ける日本に対する意趣返しと、東シナ海で行われていた日米印海軍の演習に対する牽制と情報収集であろうが、中国軍が、東シナ海における軍事行動のレベルを一段とアップさせたことは間違いない。

中国は、在日米軍に関するトランプ発言、沖縄における反米感情の高まりに呼応して、日米両国の反応を試しているのだ。

今、正に、在日米軍の「抑止力」が問われているのだ。米軍の反応が予想以上に強いものであれば、少しは手控えるだろうが、弱いと判断すると、もっと大胆な軍事行動に出るだろう。

このような危機に直面しているにも拘わらず、国民の反応は鈍い。参議院選挙の関心事は、相変わらず、景気、年金、雇用などの経済問題で、外交・安全保障は10%程度と低く、ことここに至っても、平和ボケは相変わらずだ。

いや、中国海軍の軍事行動が何を意味するのかすら、分かっていないのだろう。軍事教育を一貫してタブー視してきた戦後教育の弊害がここに現われているのだ。

野党第1党の民進党は、票欲しさに、安保法廃止を掲げて共産党と野合し、とても、国政を任せられる状態ではなく、ましてや、国の安全保障などとてもじゃないが危なくて。

そして、肝心の沖縄では、革新団体主催の追悼集会で海兵隊撤退を決議する始末で、これに、翁長知事も出席したというのだから、この人の頭の中はどうなっているのだろうか。

沖縄戦や戦後の苦難の歴史を振り返れば、辺野古移設反対、基地負担軽減、地位協定の見直しを求める気持ちは分からぬわけではないが、沖縄県尖閣諸島が益々危機に直面しつつある現状を直視することなく、「抑止力」の重要な一端を担っている海兵隊撤退決議に賛同するのは、どんな神経をしているのだろうろか。

物事を一面しか捉えられない人物に、沖縄県政を任せてよいのか、沖縄県民は冷静に考えるべきだろう。