常任理事国としての責務を自ら放棄した中国

これをヤブヘビというのだろう。まだ、判決も出ていないのに、裁判は不当なものであり、判決には従わないと明言し、これ見よがしに軍事拠点化を進める。

中国としては先手を打って、少しでも有利な判決を引き出そうとしたつもりが、国際秩序に対する挑発的な態度と受け取られ、逆に、予想以上の厳しい判決を招いてしまった。

7月12日、ハーグの仲裁裁判所が出した判決は、南沙諸島の人工島は低潮高地であり、EEZと大陸棚は認められないと断定したのみならず、「九段線」の存在すら否定し、フィリピン側の全面勝訴、中国の全面敗北となった。

中国は、この判決はただの紙屑であり、無効であり、拘束力はないと反発したが、この判決が覆ることはなく、南シナ海における中国の行動は全て違法行為となったのだ。

判決後初の国際会議となった7月16日のASEM首脳会議において、中国は10か国以上の首脳と会議を重ね包囲網の切り崩しを図ったが、中国の立場を支持したのはラオスくらいで、親中派と目されているカンボジアは、570億円もの援助を約束したにも拘わらず、中立を表明するにとどまり、蜜月関係にあるロシアからも明確な支持は得られなかった。

経済的関係の強いモンゴルやドイツからも支持を受けることができず、結局、17日の議長声明では、中国に配慮しつつも、海洋の安全保障と国際法の順守を謳った議長声明が出され、中国の孤立が一層際立つ結果となった。

中国は、70か国から支持を得ていると喧伝しているが、それがどこの国であるのか、是非、お伺いしたものだ。

英国では、エリザベス女王からは「非礼な国」扱いされ、頼りのオスボーン蔵相も去ったいま、国際法に従わない中国を支持することはあり得ないし、ASEANASEMでもとうていその数にはならない。

これまで、拒否権を持つ常任理事国として、最大限の利益を享受してきたにも拘わらず、国連が存立する基盤である国際法そのものを無視することは、自己矛盾であり、常任理事国としての義務と責任を自ら放棄したものである。 今後も、中国が国際秩序を破壊する行動をとるのであれば、国際社会は、中国に常任理事国としての資格が有りや否やを厳しく追及すべきであろう。

そう言えば、1932年、リットン調査団の報告書を無視した日本は国際的に孤立し、これが、翌33年の国際連盟脱退に繋がったが、中国は、日本と同様の失敗を繰り返さないためにも、この歴史の教訓を鑑とすべきであろう。

慰謝料を請求できる場合とは