雪隠詰めにされつつある金正恩

国際社会から激しい批判に一切耳を貸すことなく、核実験を繰り返し、各種ミサイルを発射して日本や韓国のみならず、米国を威嚇してきたが、どうやら、こうした手法も手詰まりになりつつあるようだ。

6回目の核実験を強行しょうとしたが、米国は空母「カール・ビンソン」+B1爆撃機+原潜+巡航ミサイル「トマホーク」を展開して、米国が単独でも「先制攻撃」を行う態勢を整えたため、結局、核実験は封じ込められてしまった。

また、ICBMのロフテッド発射も、国連の制裁決議によって石炭・鉄の全面禁輸が全会一致で採択され、約10億ドルの外貨収入源を失った。

この決議は経済面だけでなく、これまで、北朝鮮に宥和的であったロシアと中国が採択に賛成したことにより、政治的にも大きな打撃であった。

次にICBMの発射実験を行えば、石油も禁輸になることが十分予想されることから、ICBMの発射は、かなり難しくなったと言わざるを得ないだろう。 これに加え、ICBM「火星14」のエンジンはウクライナ製で、ロシアか闇市場を通じて入手したのでないかと言われているが、この供給路を絶たれてしまえば、北朝鮮ICBM「火星14」を製造できなくなってしまう。

核実験とICBMの発射実験が難しくなると、次に繰り出したのが、7月10日のグアム島に対する4発同時発射による包囲射撃宣言だ。

金正恩にすれば、「挑発の本拠地グアム島を地球上から消し去る」と脅かせば、米国内の一部にある、核武装容認論を勢い付かせることができるかもしれないと期待したのであろうが、トランプ大統領の怒りを買っただけであった。

「炎と怒り」、「前代未聞の窮地に陥る」、「軍事的解決の準備は整っている」との警告に加え、「予防戦争」の可能性すら示唆されて、米国の決意の強さを思い知らされただけであり、結局は、「米国の行動をもう少し見守る」として引き下がらざるを得なかった。

これによって、日本列島を横断してのICBMの発射は出来なくなったと言えるだろう。

あと、金正恩に残された道は、SLBMの発射実験くらいしか残されていない。

得意の過激な言葉で恫喝しても、口先だけであったオバマと違い、売り言葉に買い言葉で、それ以上の過激な言葉で言い返され、しかも、口に出したことを実行できる圧倒的な軍事力を持っているのだから、うかつなことは言えない。これでは、お手上げだろう。

米国と戦争になれば、確実に北朝鮮は崩壊するし、かといって、強気の発言を繰り返し、強勢大国のスローガンの元、全てを犠牲にして核・ミサイル開発に邁進してきた手前、そう簡単に引き下がるわけにもいかない。

もし、弱みを見せれば、国内における自らの権威は一挙に失墜して、暗殺される危険性がある。

となれば、偶像化して「神」となり、現状逃避するしか方法はない。昨今の、北朝鮮国内における異常なほどの金正恩礼賛運動は、その一環として行われているのであろう。

しかし、いくら偶像化されても、金正恩の母親が在日韓国人であったという事実は消し去ることができない。もし、これが北朝鮮国民に知れ渡れば、この「神」は劣等国民になり下がってしまう。

それくらい、金正恩の立場は脆弱なのだ。だからこそ、強気の発言を繰り返し、恐怖で支配する強権政治に頼らざるを得ないのだ。 相次ぐミサイルの発射は、結局は、天に唾を吐く行為であり、今正に、にっちもさっちも行かない、雪隠詰めにされつつあるのである。

金正恩の生き残りの道は、「金正恩次第」なのだ。さあどうする?「自分で蒔いた種は、自分で刈り取る」これ世の中の鉄則だ。

一部の週刊誌などでは、9月9日開戦節がとりざたされているが、折しも、米国のダンフォード統参謀議長が中国を訪問し軍事面の調整(米朝開戦でも中国は傍観する?)が行われ、日米間では2+2が開催され、北朝鮮に対する圧力強化と日本の役割強化で合意したことにより、軍事力行使の環境は整いつつある。

韓国の文大統領は、「我々が運転席に座って主導して行く」と述べたが、そもそも、その車には、米国も日本も乗っていないのであるから、空しく響くだけだ。

慰安婦にしろ徴用工にしろ、国家間の約束事を、自分達のご都合主義で一方的に破るような国は信用できないし、無視するに限る。